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遠賀川 <秋の準備> [川]

残暑 お見舞い申し上げます

というには、ちょっと遅くなりましたが・・・猛暑が続いた今年は、まだまだ暑さが続いていますので、この言葉もまだ有効でしょう。 先日の台風9号は関東地方を縦断して、南の空気を運んできましたので、まだまだ30度を越す日々が続いています。 北九州・筑豊の皆さんはいかがお過ごしですか?

ぽっかりと浮かんだ夏の雲、空気も澄んでとっても美しいです。 光化学スモッグに悩まされた今年の夏にしては、恵まれたシャッターチャンスでしたね! ここは遠賀川、直方の河川敷です。 優美な曲線を誇る福知山が、厳しかった夏の疲れに、ほっとついた吐息が湧き上がって行くような雲です。

その雲も、少し高い筋雲と並んで、秋の気配が漂っていますね。 目を落とすと自然な護岸が残っている遠賀川の流れ。 直方から少し上流に来るとこのような景色がまだ生きています。 河原の草もまだまだ緑なのですが・・・

なにやらごろごろと転がってきているように見えるのは、牧草を刈り取って秋から冬にかけての飼料とするための「ロールベーラー」。 一つが250キロから大きいものは400キロくらいにまとめるそうです。 昔は遠賀川の広い範囲で「放牧」が行われていたそうで、時には「牛横断中」といって、車の通行が制限されることもしばしばあったようですね。

夏の間放牧された牛は、終日3kmから5kmを移動しながら、体重(約600kg)の10%程度の草を食むそうです。 御存知のように反芻を繰り返す牛は、胃を4つ持っていますが、この容量を合計するとドラム缶1本分だそうです。 まだ草の生い茂る秋口に、この様に大量の草を刈り取り、大食いの牛達の冬の食料を蓄えなければなりません。 放牧される牛の多くは、子を産むための雌牛(繁殖牛)とその子牛ということで、この風景は単に河川整備のための草刈ではないと思うと、自然と人間の営みや「食」の自給に関して、ちょっと考えてしまいます。 

しかし、この風景はそれだけではない広がりを持っています。 この画面を良く見ると・・・ロールのあいだやロールの上に、褐色のごみのようなものが写っているのが見えるでしょうか。 それについては後で触れますが・・・

そうこうしている内に、河原の水際の茂みに「白鷺」の群れが舞い降りてきました。 なにやら、遠巻きにしてこちらを伺っている様子。

ははぁ~、原因はこれ↓でした。

ロール戦車部隊を乗りこなすように、鳶のグループが刈り取られたエリアを占拠していました。 最近夜になると虫の声が耳につくようになりましたが、刈り取られた河原の草原は、バッタやコオロギなどの昆虫たちが行き場を失って、うろうろ・・・、そうです。 鳥達にとって格好の餌場となっているのです。 草が茂っていたときにはなかなか見つけるのも捕るのも難しかったのが、人間の手によってこの様な恩恵が与えられることを、鳥達は知っているのですね。 鳶たちはまずここを占拠して、十分に食べ終えた後、白鷺たちの順番となるのです。 人間と川と草と牛と鳥と虫達・・・、これも一種の食物連鎖。 そこに人間が組み込まれていることを、私達はしばしば忘れてしまいがちです。

でも、そう気が付いたとき、なんだかほっとしませんか? 仲間が増えたような、自然のサイクルの中に「かててもらった」ような・・・

撮影:L.T. 2007年8月 <7枚とも>


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コメント 19

keykun

こんにちは。^^
ロールベーラーですか?
無知にも北海道をイメージしていたので、
考えて見ると九州。阿蘇をはじめ・・・各地に酪農、畜産で、飼料の確保してますよね。^^;
食物連鎖の頂点の、鳶?勉強になりました。^^
by keykun (2007-09-09 17:17) 

赤か毛さん、ご無沙汰してます。
お元気でしたか?
今年の夏の福岡は、暑かったですー。
8月にはいると、空のかすみも晴れて
綺麗な青空が望めましたよ。
にしても、遠賀川でこういう光景がみられることを
知りませんでした。ほぇ〜って感じです。
by (2007-09-09 17:28) 

赤か毛

keykunさん、いつも有難うございます。
遠賀川の放牧は、現在は比較的小さな規模と
言わざるを得ないでしょうが、規模に関わらず
食の地域内自給や、人間と自然のかかわりなど
貴重な部分を含んでいますね。
このブログ記事を書きながら、私自身も勉強している次第です(^o^ゞ
by 赤か毛 (2007-09-09 21:59) 

赤か毛

jallさん!長らく離れていてすみませんm(_._)m
ほんとに今年は暑かったですね~!
暑い中で仕事もホットになってしまって、更新がほぼ1ヶ月出来ませんでした。
いまは、少し落ち着いたので、ほっと、していますが・・・(^o^;

遠賀川、いろいろあってなかなか魅力が尽きません。
また折に触れて取り上げたいと思います。
気長にお付き合いください。
いつも温かいコメント感謝しています。
by 赤か毛 (2007-09-09 22:05) 

赤か毛

caramelpapaさん、放牧ができるほど河川としての規模が大きいということですね。
今は、CO2の問題やなにかで、物を燃やすことがはばかられますが
草原を管理する方法として、野焼きというやりかたも重要な役割をもっているようですね。
除草くずを焼くのとはちょっと違うでしょうが・・・
by 赤か毛 (2007-09-09 22:10) 

赤か毛

takagakiさん、いつもご訪問&nice!をありがとうございます。
by 赤か毛 (2007-09-09 22:13) 

赤か毛

keykunさん、蛇足ですが、あれから少し考えると
食物連鎖の頂点は、実は人間かも!?です。
そう考えると、自然のバランスの影響を最終的に受けるのは
私達、人間ということになりますね・・・
by 赤か毛 (2007-09-09 22:59) 

風来坊

お久しぶりです。九州にロールとは、ちょっと驚きです。まあ昔からあったのを、注意して見ていなかっただけかも知れませんが。
撮影者のL.Tさん、楽しい写真楽しめました。ありがとう。
by 風来坊 (2007-09-10 07:58) 

赤か毛

寂光さん、いつもご訪問とnice!を有難うございます。
by 赤か毛 (2007-09-10 20:59) 

赤か毛

風来坊さん、大変ご無沙汰をしてしまって、すみませんでした。
お元気でしたか?
ほんとに住んでいた頃は、地元の良さになかなか気が付かずに
過ごしていたことに、改めて気が付きます。
自分が幼かったということも言えるでしょうが・・・
離れて始めて分かる、ということも大切なことかと思います。

それにしても、カメラマンL.T.氏の視線が、この土地に対する
愛情にあふれていることは言うまでもありません。
これからもご期待下さい!
by 赤か毛 (2007-09-11 14:10) 

wanwanmaru

ご無沙汰してます。

こういう風景って秋を感じますね~。まだまだ日中は
暑いですけど、しっかり秋はそこまでやってきてるん
ですね。

ロールベーラーって旅先で見かけることがあるけど、
遠賀川でも見られるというのは知りませんでした。

ところで「かててもらう」って久し振りに聞いたよう
な気がします。さすがに大人になるとあまり使う言葉
じゃないですよね。最近の子供たちは使うのかな?。
by wanwanmaru (2007-09-11 22:49) 

赤か毛

wanwanmaruさん、更新が滞ってしまって
こちらこそ大変ご無沙汰をしてしまいました。
ほんとに、暑い時期から秋は着々と近づいていますね。
むかーしの記憶をたどると、そういえば河原に牛がちらほらいたなー
っち感じがします。

小さい頃、「ねー、かててー!」と言いながら
広場でみんなが始めた「いんどーじんのー・・・」というような
あそびに加わっていましたねー。

今の子供達、そもそもどんな遊びをしてるんでしょうか?
興味がありますね。
by 赤か毛 (2007-09-12 21:54) 

カメB

遠賀川流域の夏景色、皆様に楽しんで頂けているようでよかったです。
赤か毛さんの申されるとおり、今夏はスモッグに悩まされていましたが、お盆の前後に限り、見事な夏空が広がりました。

撮影日は8月15日で、まだ強烈な日差しが照りつけていましたが、
意外なところに秋の訪れを感じることができて嬉しくなりました。

あの草を巻いた物体がロールペーラーと呼ばれるのも初耳です。
撮影日に、他の場所では既にトラックの荷台に積み込む作業がされていましたので、今はもう見ることはできないと思われます。

九月に入り、さしもの猛威をふるった太平洋高気圧も勢力を失い朝晩はしのぎやすくなりましたが、その代わりに、大陸からの移動性高気圧がまたスモッグを運んできました。爽やかな秋空を、今年は何度見ることが出来るでしょうか?

折りしも、今日首相が突然辞任を発しました。
政治は混沌、空気は混濁、市民は困惑というところでしょうか。

     
          P.S.
  
   昔、遠賀川には牛が沢山飼われていました。
  「牛の横断中につき...」にも度々遭遇しましたよ。
by カメB (2007-09-12 23:03) 

赤か毛

カメラマンBさん、撮影状況の解説有難うございます。
今年のクリアな青空としては、貴重なショットとなりそうですね。
カメラマン泣かせの光化学スモッグ、何とかならないものか・・・
いやいや、泣いているのはカメラマンだけではなく、多くの人々ですね。

それから、記述がいい加減で申し訳ありません。
ロールベーラーは、このロールをつくる機械のことで
正確にはロールベール、もしくは牧草ロールと言ったほうが正しいですね。
ごめんなさいm(_._)m

そして、もっと調べましたら、このままでは飼料にはならないらしいのです。
これを白や黒のフィルムで巻いて、醗酵した状態になって初めて
牛達の食に供されるとのこと・・・
この醗酵した状態を、ロールベールサイレージと呼ぶのだそうです。
なかなか手が込んでますね。
どの世界も奥が深いようです。
by 赤か毛 (2007-09-13 23:03) 

二つ目草

遅れました(汗)
遅れてしまった分、残暑も落ち着き朝夕は涼しくなってしまいました。
ご無沙汰しております。

遠賀川ではコンクリートの味気ない護岸から自然に戻す動きも進んでいて、散策も楽しみが増えました。
そういった影響で、様々な生き物も帰ってきているようですね。

私が見た牧草ロールは白いカバーがかかっていて、趣がないなあと思っていましたが、それは中で発酵させるためだったのですね。
by 二つ目草 (2007-09-13 23:56) 

赤か毛

二つ目草さん、御無沙汰したのはこちらです。
この夏は、昨年の偽装事件のおかげで、大変なことになり
ブログの更新が滞ってしまいました。

ほんとに朝晩は涼しくなりましたね。
しかしまた台風が沖縄辺りをうろうろしていますので
南国の空気が運ばれるかも知れません。
いずれにしても、お気をつけください。

遠賀川の牧草ロールについては、確か以前二つ目さんも
撮影されていたように思います。
私も今回始めて放牧の事を知り、昔から遠賀川の河原に
ちらほらと見かけた牛の様子を、改めて考え直しているところです。

白いカバーの件も同感でした。
by 赤か毛 (2007-09-15 11:57) 

Dalmy

いつも楽しませていただいています。
それにつけても、わが故郷がこんなに素敵なところだったとは・・・。
東京(国立市)の我が家からは多摩の山々や、冬の晴れた日には富士山も
見えるけれど、私は皿倉の峰と洞海湾、そしてその夜景が日本一だと思っています。
by Dalmy (2007-09-19 19:37) 

赤か毛

Dalmyさん、ようこそ洞海湾通信へいらっしゃいました!
いつもご覧頂いているようで、嬉しく励みになります。
皿倉の形、いいですよねー!
おっしゃるとおり洞海湾を見下ろした景色も最高です。

私も多摩川の対岸に住んでいますので、多摩丘陵や秩父連山
丹沢山系の美しさは折に触れて感じております。
しかし!やっぱり自分の血の中に流れるものが、育った土地と
何か繋がっているように思われます。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
お気軽にコメントくださいね!
by 赤か毛 (2007-09-19 23:29) 

赤か毛

tadaatsuさん、お久しぶりです。
ご訪問&nice!有難うございます。
by 赤か毛 (2007-09-19 23:30) 

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